2009/06/04

4歩下がるとお得です

ストループ課題というのがあります。
例えば、


 
 あか みどり あお きいろ 
 


をできるだけ速く、声に出して読んでみて下さい。早口言葉くらいの異常な速さでお願いします。

では、次。


 
 あか みどり あお きいろ 
 

今度は、文字を読むのではなく、文字の色を声に出して言ってみてください。

やってみると、文字の意味を無視して表示色だけを答えるのはちょっと難しいことがわかると思います。
これがストループ課題で、認知的能力の高さを測定するための課題の一つとして、心理学研究の中でよく使われています。認知的能力を測定するには、そこそこ難しい課題じゃないとだめで、ストループ課題はちょうどいい難しさだってことですな。
データとしては、読み上げるときのスピードや、読み上げの誤り回数などを測定することになります。

Psychological Science誌に掲載されたKochさんたちの研究では、このストループ課題の成績を指標とした実験をやっていて、我々の認知的能力を一時的に高める(かもしれない)驚くべき方法がある、ということが報告されています。

それは、

4歩下がる

というもの。
これだけ。

実際には4歩でも10歩でもいいのかもしれませんが、彼らの実験では4歩という条件に設定されていました。
被験者さん達(オランダの大学生)にストループ課題をやってもらったのですが、その直前に、前に4歩あるく、後ろに4歩あるく、右または左に4歩あるく、ということをしてもらいました。

すると、後ろに4歩あるいた条件では、反応が30〜40ミリ秒ほど素早くなったのだそうです。
30〜40ミリ秒というと些細な違いに思うかもしれませんが、人間の反応速度としてはかなり大きな違いと言えます。私が自分で実験をやって、反応時間にこれだけの差が出たら、カチャーシーでも踊りたくなるくらいうれしくなることでしょう。

仮に、この効果がストループ課題に限定されず、我々の認知能力全般において生じるのだとしたら、という前提が必要ですが、Kochさんたちは、「何か困った状況に陥ったときは、後ずさりしてみると、うまいこと対処できるようになる…かもよ」と述べています。

発表会でステージに上がるときは、後ろ向きでステージの中央まで歩いていくといいかもしれません。
それはそれで別の問題が生じそうですけど。

Koch, S., Holland, R., Hengstler, M., & van Knippenberg, A. (2009). Boy locomotion as regulatory process: Stepping backward enhances cognitive control. Psychological Science, 20(5), 549-550.





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