2006/09/30

これなあに?

子供がある物(道具やおもちゃなどの人工物)を持ってきて、

これなあに?

という質問をしたとします。
この質問の意図は曖昧で、

これはなんていうの?

という名称についての質問なのかもしれないし、

これでなにをするの?

とか、

これはどうやってつかうの?

という、その物体の機能についての質問なのかもしれません。

Kemler Nelsonらは、ある実験を行って、「これはなに?」という質問をするときに、子供が気に掛けているのが物体の名称なのか、それとも機能なのかを調べたのだそうで。

どういう実験かというと、まず、被験者となるお子さん(2歳から4歳)を一人ずつ実験室につれてきます。実験室には、子供にとって未知の物体がたくさん置いてあり、大人の実験者が控えています。実験者は、子供が物体について質問してくるように促します。

そして「これはなに?」という質問を子供がしてきたときに、半数の子供に対してはその物体の名称を答え、残り半数の子供に対してはその物体の機能を答えてやります。
その後で、子供がさらに質問を繰り返してくるかどうかを数えます。

もし、子供が物体の名前を知りたくて「これはなに?」と聞いているのだったら、名前を答えてあげればそれで満足して、もう質問はしてこないでしょう。しかし、機能を答えたら、本当に知りたいのは名前なんですから、また質問してくるはずです。

逆に、子供が物体の機能を知りたいのだったら、実験者が名前を答えた場合はさらに質問を繰り返して、機能についての情報を得ようとするでしょう。しかし、実験者が機能を答えてやればそれで満足してもう質問はしてこないはずです。

というすばらしい実験デザイン!

結果は非常にクリアーで、2から4歳までのどの年齢の子供も、「これはなに?」という質問に対して物体の名前を答えてやると、さらに質問を繰り返し、機能を答えてやると、それ以上はあまり質問してこなくなりました。
この結果は、子供が「これはなに?」と聞いてくるとき、物体の名称よりも、むしろ機能について知りたがっているということを示唆しています。

じゃあ、実際に子供から「これはなに?」って質問されたらどう答えるのがいいんだろう?
機能について知りたがっているのかもしれないけれど、わざと最初に名前を答えてやって、さらに質問を繰り返させてから機能について答えてやる、というふうにすれば、名前と機能の両方を学習する機会がえられることになる、のかな?
実際の子育て場面でいちいちそんなこと考えてられないですけどね。

それにしても面白い実験です。
自分もこういう実験をしてみたいもんですね。
いやいや、私が今やっている実験だって、データが揃えばこれに負けないくらい面白い結論が得られるかもしれません。というわけで、よろしければ実験へのご協力、よろしくお願いします。
ウェブブラウザ上で数分から10分程度実験プログラムを実行するだけで、子供の劇的な発達に比べれば微々たる進歩ですが、ちょこっとだけ実験心理学が進歩します。

Kemler Nelson, D. G., Egan, L. C., & Holt, M. B. (2004). When children ask, "What is it?" what do they want to know about artifacts? Psychological Science, 15(6), 384-389.

≪ 運動会ホームだまされる脳 ≫

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