盲点で遊ぼう

両腕を前に伸ばして、人差し指をそろえてください。
次に、左目を閉じて、右目だけを開けていてください。
当然ですが、左右の人差し指の先端が、どちらもはっきり見えますよね。
それでは、右手をゆっくりと、右の方に水平移動させてください。
左手は、そのまま顔の正面で固定です。右手だけ、右にスライドさせます。
ここで注意。
右手を動かすと、それにつられて目で追ってしまいがちですが、
視線は、顔の正面にある左手の人差し指の先端に固定してください。
ただし、意識(注意)だけは、右にスライドさせた右手の人差し指の先端に集中してください。
視線が向いた先とは別の場所に意識を向けるというのはなかなか難しいのですが頑張ってください。
右手をゆっくりと右に動かしていくと、ある位置で、人差し指の先端がすっぽりと消えてしまいます。
初めて体験すると、かなりびっくりするのではないでしょうか。
私はすでに何度も指が消えるのを観察していますが、何度観察してもけっこう面白い現象だと思います。
「消えないよ」という方がいたら、右手の人差し指を目で追ってしまっている可能性があります。
視線は、顔の正面にある左手の人差し指の先端に固定しないとだめです。
視線が向いた先、つまり視野の中心はよく見えるけれど、視野の周辺部はぼやけてよく見えません。そのせいで、人差し指の先が見えなくなったのでしょうか?
そうではありません。
右手を更に右にスライドさせると、もっと周辺の、更にぼやけて見える領域に入ることになります。
しかし、消えていた指の先端が現れて、ちゃんと見えるのが確認できるはずです。
つまり、右目では、右方向のある特定の位置(正確には位置ではなく方向)に、物が見えない領域があるということです。
眼球には、光を感じる細胞が存在しない、「盲点」という領域があります。人差し指の先端が、ちょうどその盲点と対応する位置(方向)に来たため、見えなくなったのです(ちゃんと図を使って説明したいところですが…)。
盲点は、右目だけでなく左目にもあります。
左目をだけを開け、右手の人差し指を顔の正面で固定し、左手を左の方にスライドさせてみてください。
このとき、視線は、顔の正面にある右手の人差し指に固定します。
やはり、指の先端が消えて見えるはずです。
指が消えてしまう状態にしてから、両目を開けてみてください。
そうすると、消えた指が出現します。
片方の目で見えていなくても、反対の目からは見えてしまうためです(盲点の方向ではないから)。
物が見えなくなってしまうこの現象、上に書いたような手続きをとったときにだけ生じるのでしょうか?
そうではありません。
普段、普通に生活していても、右目は右方向のある領域、左目は左方向のある領域が見えていないのです。
でも、見えていない領域があるなんて、いままで全然気づかなかったのではないでしょうか?
こういう知識を得た今現在だって、そんなふうには感じないはずです。
両目を開けているから気づかないのでしょうか?
それも違います。
片目だけで周りを見回してみてください。
片目だけで見ている場合、反対の目による補償は無いわけですから、盲点の部分の情報はすっぽり欠けていることになります。
それでも、欠けて見えないですよね。
どうやら、欠けた部分を埋め合わせて、欠けているとは感じさせないようなメカニズムが、我々の頭の中にはあるようです。
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